海水
MLR-E工法(マンホール更生/下水道施設更生)
アクアインテック(株)では、MLR-E工法サービスを提供しております。
下水道施設が災害などで被災した場合、衛生問題や交通障害の発生ばかりか、住民の健康や社会活動に重大な影響を及ぼします。
さらに震災時に於けるライフラインの確保は、もっとも重要な課顆で、現在、様々な施設で震災に備えての耐震化が加速しています。
下水道施設も例外ではなく、特に他の施設とは異なり、下水道施設には震災時の代替手段がありません。
しかし現代では、市民生活や社会生活に於いて必要不可欠なものとなっています。
そのため、地震などの災害時においては下水道施設の安全性確保や速やかな復旧体制の確保が必要とされています。
このような状況から、私たちは「大切な街を守るために」地震に強い下水道づくりを目差して、施設や管路の耐震化と長寿命化に向けて、これからも引き続き取組んで参ります。
お問い合わせはこちらからお願いします。
MLR-E工法 非開削人孔更生(耐震)工法
MLR-E工法は、あらゆる人孔に適応する非開削人孔更生(耐裳)工法です。
MLR-E工法とは…
マンホール内の劣化したコンクリート部分を除去した後、コンクリート腐食の原因となる硫化水素ガス等の接触をMLRモールドにより遮断し、エポキシ系MLR充てん樹脂との一体化により既設コンクリートの強度復元と防食性能の向上を目的とする更生(耐籐)技術です。
①使用材料
※MLRモールドEタイプは、3層品のアイボリ一色です。
②施工手順
1.円形人孔
2. 角人孔
開削•更新に匹敵する高い物理的・化学的性能を有します。
③LR工法にて更生後の特性
1.強度十耐荷重(複合体)
1)曲げ強度(JIS A 1 1 06 コンクリートの曲げ強度試験方法)
厚さを60%にしたコンクリートを更生した時の曲げ強度が、元の厚さのコンクリートと同等以上の強度を有します。
マンホール種類 | コンクリート単体 | 更生供試体 | |||||
コンクリート厚さ mm |
最大荷重 N |
曲げ強度 MPa |
コンクリート厚さ mm |
施工厚 mm |
最大荷重 N |
曲げ強度 MPa |
|
1号 | 60 | 4,202 | 3.5 | 36 | 8.4 | 15,680 | 23.8 |
2号 | 70 | 6,652 | 4.1 | 42 | 8.4 | 18,176 | 21.4 |
3号 | 80 | 9,102 | 4.3 | 48 | 8.4 | 20,672 | 19.4 |
組立1号 | 75 | 7,877 | 4.2 | 45 | 8.4 | 19,424 | 20.4 |
組立2号 | 100 | 14,002 | 4.2 | 60 | 8.4 | 25,664 | 16.4 |
組立3号 | 125 | 20,127 | 3.9 | 75 | 8.4 | 31,904 | 13.7 |
※上記最大荷重値は、試験結果に基く線形近似(コンクリート単体:y=245x-10.498 MLR施工品:y=416X-2.832)により求めました。
2)圧縮強度【JIS K 7181:2011 プラスチック一圧縮特性の求め方】
MLR充てん樹脂の圧縮強度が、一般のコンクリート以上の強度を有します。(MLR充てん樹脂単体)
項目 | 単位 | 基準値 |
MLR充てん樹脂 圧縮強度 | MPa | 60 |
下水道用鉄筋コンクリート製組立マンホール JSWAS A-11(2005年) 圧縮強度 | MPa | 25 |
2.水密性(内外水圧試験)
MLR工法施工品は、0.1MPaの内外水圧に耐える水密性を有します。
項目 | 基準値 |
内外水圧(MPa) | 0.1 |
試験時間(min) | 3 |
漏水の有無 | なし |
3. 耐薬品性
MLRモールドの耐食性は、日本下水道協会発行のJSWAS K-2(2013)下水道用強化プラスチック複合管の規格および、日本下水道事業団発行の「下水道コンクリート構造物の腐食抑制技術及び防食技術マニュアル」で示される、防食被覆工法の腐食環境下における耐薬品性規格を満足する性能を有します。
J3WA3 K-2 浸せき試験 | |
試験液の種類 | 基準値 |
蒸留水 | 質量変化率 (0.3%以下) |
塩化ナトリウム水溶液(10w/w%) | |
硫酸(30w/w%) | |
硝酸(40w/w%) | |
水酸化ナトリウム水溶液(40w/w%) |
J3指針 浸せき試験 | |
試験内容 | 基準値 |
耐酸性試験 10%の硫酸水溶液に60日浸せき |
ふくれ、われ、軟化、溶出なし |
耐アルカリ性試験 水酸化カルシウム飽和水溶液に60日浸せき |
ふくれ、われ、軟化、溶出なし |
④更生材料の特性
1. MLRモールドEの物性
試験項目 | 単位 | 試験方法 | 基準値 |
引張強度 | MPa | JIS K 7164(2005) プラスチックの引張試験方法 |
54以上 |
曲げ強度 | MPa | JIS K 7171:2016 繊維強化プラスチックの曲げ試験方法 |
150以上 |
2. MLR充てん樹脂の性状と物性
1)症状
項目/品名 | MLR樹脂 | |
外観 | A液(主剤) | 淡黄色透明液体 |
B液(硬化剤) | 黄褐色透明液体 | |
混合物 | 黄褐色透明液体 | |
配合比 | A液/B液 | 7/3 |
混合粘度 | A液/B液 | 700MPa・s(25℃) |
可使時間 | 40分(25℃) |
2)物性
試験項目 | 単位 | 試験方法 | 基準値 |
曲げ強度 | MPa | JIS K 7171:2016 熱硬化性プラスチック一般試験方法 | 40以上 |
圧縮強度 | MPa | JIS K 7181:2011 熱硬化性プラスチック一般試験方法 | 60以上 |
3)既設マンホールとの一体性(MLRモールド+MLR充てん樹脂+JIS板モルタル)
日本下水道事業団発行の「下水道コンクリート構造物の腐食抑制技術及び防食技術マニュアル」で示される、防食被覆工法の腐食環境下におけるコンクリートとの接着性の品質規格に準拠します。
JIS A-6909 (2003) に準拠
試験項目 | 単位 | 基準値 | |
接着強度品質規格 (注入樹脂/モルタル) |
標準状態 | MPa | 1.5以上 |
吸水状態 | 1.2以上 |
施工事例 MLR-E工法
①施工事例
■E工法
フローチャート MLR-E工法・G工法
①フローチャート
既設マンホールの状況
注:MLR工法選定に当り、同一人孔内においてE工法とG工法の併用は工法的に困難があり併用及び連結を禁止致します。
腐食環境条件
「下水道管路施設腐食対策の手引き(案)」平成14年5月22日発行
分類 | 腐食環境条件 | 摘要 |
Ⅰ種 | 硫化水素の発生要因近傍で、硫化水素ガスの滞留が多く、腐食が厳しい環境。(維持管理上、発生源対策を必要とする。) | 放置した場合、併用年数10年未満で劣化度Aランクに達する腐食環境を想定。 |
Ⅱ種 | 硫化水素の発生要因に近傍し、硫化水素ガスの滞留があり、腐食速度が緩やかな環境。(発生源対策を必要とする場合と必要としない場合がある。) | 放置した場合、併用年数10年未満で劣化度Bランクに達する腐食環境を想定。 |
Ⅲ種 | 硫化水素の発生要因に近傍しているが、硫化水素ガスの滞留は少なく、腐食速度が小さい環境。 | 放置した場合、併用年数11年未満で劣化度Cランクに達する腐食環境を想定。 |
MLR工法における耐震設計について
①MLR工法(人孔更生工法)の耐震設計システムの概要
本システムは、MLR工法によって更生されたマンホールに対して、日本下水道協会の「下水道施設の耐震対策指針と解説」・「下水道施設耐震計算例ー管路施設編ー」に基づいた応答変位法による断面力算出と断面照査(許容応力照査、耐力照査)を行うものです。
適用形状は円形と矩形及び混在型が可能です。
②耐震計算実施における条件及び内容
A.今回の設計システムでは、現場打ちマンホールにおいて耐震性能を満足する補強方法も加味した照査を行います。
B.組立式マンホールにおいても、現場打ちマンホールとして人孔本体の耐震性能の照査を行います。なお、継手部の開口量の照査は組立マンホールの汎用ソフトにてMLR工法の材料特性、又は、オリジナルの継手特性に基づき実施します。
C.MLRの更生材は鉄筋と数値は異なるが同様な特性(応力ひすみ曲線)を持つものと仮定しています。
D.増しコンクリート厚みや増し鉄筋置の設計変更にも対応可能です。
E.御依頼主からは、基盤層までのボーリング調査データ(N値、土質厚、土質名、深さ等)マンホールの寸法図・配筋図、コンクリート残存強度等のデータを提供頂く必要があります。但し、これらのデータが無い場合は施主様了解のもと仮定値にて参考資料としての設計書の提出は可能です。
●施工にあたり…
留意事項および付言
(1)本技術の施工にあたっては、作業前にマンホール内の酸素濃度・硫化水素濃度等の測定を行い、安全を確認の上作業を行うとともに換気等の安全衛生対策を行うこと。
(2) MLR樹脂の在庫管理については十分注意し、消防法関係法令に従って事故の無いように万全な対策を講じること。
(3)本技術の施工にあたっては施エマニュアルに基づいた工事を行うこと。
法規制等の名称
東京都公害防止条例及び各自治体公害防止条例
東京都環境基本条例及び各自治体環境基本条例
東京都公害防止条例施工規則及び各自治体公害防止条例施工規則
※上記表に準拠します。
●建設技術審査証明書
※1999年3月 証明取得 ※2008年6月 追加更新
※2004年3月 更新証明取得済 ※2013年3月 更新
※2017年3月 変更 ※2019年3月 変更
●「下水道用マンホール改築・修繕エ法に関する技術資料」の実施検証
● (公財)日本下水道新技術機構「建設技術審査証明」2017年3月変更
1.耐荷性能(組立式マンホール)
組立式マンホール(壁厚: 75mm)が35mm減肉して、鉄筋が露出した状況にし、マンホールを破壊させた後、MLRを施して再荷重し、強度を確認。
『MLR更生面:異常なし』
2. 耐荷性能(現場打マンホール)
現場打マンホール(壁厚:200mm) に荷重し、新品状態の強度を確認。
現場打マンホール(壁厚: 200mm)を50mm減肉させた物に荷重し、強度を確認。
『MLR更生面:異常なし』
3. 耐劣化性能(クリープ特性試験)
JIS K 6258、JISK7171 による薬品浸漬後の曲げ強さ試験。
『50年耐久の検証:異常なし』
4. 耐劣化性能(外圧疲労試験)
組立式マンホール(壁厚: 75mm)が35mm減肉して鉄筋が露出した状況にMLRを施して
24時間X25日間振動を与えた後強度を確認。
『50年耐久の検証:異常なし』
5.耐震性能(外圧目地ズレ試験)
組立式マンホールにMLRを施して、接合部のせん断力23.BKN (レベル2地震動より想定
される水平力)を与えた時点での接合部の水平ズレ量を測定し、強度を確認。
『水平ズレ量:0.6mm MLR更生面:異常なし』
MLR工法 25.7ヶ年経過追跡調査
①MLR工法25.7ヶ年経過追跡調査
■調査概要
項目 | 概要 |
施工日 | 1991年2月 |
調査日 | 2016年9月16日/晴れ |
場所 | N県S市 |
施工人孔 | 1号人孔 |
■調査項目
項目 | 概要 |
1 | 施工人孔内目視・打診調査(洗浄後) |
2 | 表面強度(シュミットハンマー非破壊検査法) |
3 | 中性化深さ(フェノールフタレイン法) |
②測定結果
■調査目的
項目 | 概要 |
1 | 経時(劣化変化)等の有無(ワレ、フクレ、ハクリ)目視 |
2 | 人孔内直壁(上、中、下)3箇所の表面強度測定 |
3 | 人孔内直壁(上、中、下)3箇所に中性化確認 |
※1:上部・中部・下部3箇所のA~E点において各3回測定した平均値。
※2:A~Eの各平均を上・中・下部3箇所の各測定結果とする。
■25年経過
A 平均 | B 平均 | C 平均 | D 平均 | E 平均 | 結果(単位:N/mm2) | |
10年 経過 | 50.6 | 50.3 | 42.3 | 51.7 | 40.7 | 47.0 |
15年 経過 | 54.0 | 50.0 | 55.0 | 57.0 | 54.0 | 54.0 |
20年 経過 | 53.0 | 49.0 | 46.0 | 47.0 | 47.0 | 48.0 |
25年 経過 | 44.0 | 52.5 | 44.0 | 45.5 | 48.0 | 47.0 |
■5年毎の強度推移
③結果・考察
測定点3箇所での表面強度とコンクリート躯体の中性化を保持している。
表面強度確認検査で、シュミットハンマー法の基準値、21-24N/mm2以上を25年7ヶ月経過した状態においても、施工時と比べ劣化状況を見い出す事が無く、MLR工法の耐久性を確認する事ができた。長寿命化の観点から非常に有効な工法であることを再認識する事ができた。
④人孔内調査状況
【耐硫酸性能の検証結果】
MLRモールド試験片を前記条件にて浸漬した後に曲げ強度を測定し、その結果を基に50年後の曲げ強度を推定する。その性能推定曲線を用いてアレニウスの式により15.4倍の促進として、50ヶ年相当での耐用性能を確認しました。
浸漬日数 | 曲げ強度(MPa) | 強力低下率(%) |
オリジナル | 193 | 0.0 |
14 | 118 | 38.9 |
30 | 112 | 42.0 |
90 | 102 | 47.2 |
240 | 104 | 46.2 |
360 | 87 | 54.9 |